■Scenes 夜の情景 〜未だ聞こえてこない春の足音〜

夜の情景〜未だ聞こえてこない春の足音〜

TVのリモコンが見当たらない。
ヒーターの延長ボタンを押して、
散らかったノートの残骸をひっくり返す。

彼は隣で黙ったまま爪を切ってる。
語られない言葉達が、いつまでも宙に浮いたまま。

携帯のメールで別の女と交わしていた言葉
女「今度来た時 何食べる?」
彼「あなた。」

あなた…
貴方…

階下で ガチャッ ガチャッ ガチャッ と音がする。

ガチャッ ガチャッ ガチャッ
イタイ  イタイ  イタイ

二人の大切なワンシーン、ワンシーンが切り取られてゆく様な音…
神様は その人が耐えられるだけの苦しみを与えるらしい。
痛みに気付かない人や忘れやすい人はどうなるんだろう?

TVのリモコン。
ヒーター。
ガチャッ ガチャッ ガチャッ。

猫がしきりに何か話しかける。

「そうね。信じる事は簡単なコトではないよ。」

リモコンを探し当て、
積み重ねられた本の間にはさまった封筒を見つける。
彼から初めてもらった手紙。
嬉しくて、何度も何度も読み返したから
見なくてもおぼえてる。

scenes_yoru 「貴方と初めて目が合った、
 あの日のあの瞬間を、僕は一生忘れない。
 心臓がワルツです。」

あれは5月だった。




posted by Azberry Park Ltd. at 2006-01-02 00:00 | Comment(0)
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